栄養学は19世紀に学問として確立されて、
人々の食事と、日常生活の活動から見た、エネルギー所要量
の関係が議論されました。
では、19世紀の人々の食生活はどのようなものだったのでしょうか?
イギリスを例にとってみると、まず、彼らの主食はパンです。
小麦の脱穀は石臼で行われていました。しかし、蒸気機関の発明により
ローラーを回転させる脱穀にかわると、ふすまや胚芽が完全に取り除かれる
ようになり、見かけも味もよい白パンが製造されるようになりました。
経済的に豊かな人々はこれを好み、ふすまや胚芽を含む黒パンは嫌われました。
しかし、このころはビタミン研究はまだされておらず、当然のことながら白パン
からは、ビタミン類は失われ、ビタミン欠乏症になっていることに、
当時の人々は気づくよしもありませんでした。